・ 前回までのあらすじ
ファゼルの力と ”大陸の生贄” の伝承渦巻く ヴィンバレリー。
タンガロアでは謎の教団が活動し、北のクレスマハイオ大陸では ファゼル騎士団が
栄華を誇っていた。
ニヴルヘイムでは ファゼルに対する敵対心を密やかに燃やしているとも知らずに・・・
小さな村(ツァポスク)で母子二人、穏やかに暮らしていた リュスアル少年は、
自身が持つ ファゼルの能力をきっかけに、少女の声を聞いたのだった・・・ 
リュスアルが少女の声を聞いた時から 大した時間は経過してはいなかった。
暗くなった森の中で、リュスアルは少女を見つけ出した。
” よかった、 間に合った ”
少女は気を失ってはいたが、安定した鼓動の音と 呼吸音がはっきりとリュスアルの
耳に届いた。
しかし、その一帯は血なまぐさい 異臭を放っており、リュスアルの良すぎる臭覚を
怯ませた。
彼女を抱きかかえると ヌルっとした液体にまみれた感覚があった。
「 血・・・ 」
大量の血、そして死骸が散らばっている事を リュスアルは知った。
夜目は利く方だが、破損が酷いのだろう、リュスアルの目をもってしても 辺りの
惨劇は詳しく把握できなかった。
数キロ離れた自分の村まで、リュスアルは少女を抱えたまま疾走した。
白昼であったならば、こんな速度で走ろうものならば 母親に大目玉をくらうだろう。
リュスアルは ふと考えた。
いくら耳がいいとはいえ、数キロ先の少女の声が何故聞こえたのか?
大量に散らばっていた肉塊と 血の海の中、何故 この少女だけが無事だったのか?
” 能力者・・・なのかな・・・? ”
ふとそんな事を考えた。
「 母さん、ただいま・・・ 」
サシャンナは 血まみれの少女を見ると ギョっとした。
すぐに 少女の傷から溢れた血ではないことが分ったサシャンナは、二人を家に入れると
すぐに扉を閉じた。
「 この事は 私がいいというまで 黙っていなさいね 」
リュスアルが頷くと、サシャンナは少女の体から血まみれのボロ布を剥ぎ取って、
丁寧に血を洗い落とし始めた。
傷一つ無い、美しい白い肌。
まるで昨日生まれたばかりの 赤子の様に美しい肌であった。
少女には記憶が無い事が 翌日には分った。
生活に関する知識も言語も、殆どが無に等しかったが、知能が優れていたため 驚く速さで
様々な智恵をつけていった。
記憶こそ戻りはしないものの、数週間で人並みの子供となんら変わりないまでになった。
タイミングを見計らって、サシャンナは少女を村の者達の前に出した。
「 遠い親戚から 預かった娘さんで、 イネスといいます 」
「 イネスです、よろしくお願いします 」
明るく優しい表情の少女は、あっというまに村の者達に受け入れられた。
リュスアルは イネスを妹のように大事に大事に扱い、そして 時は流れていった・・・
暗黒の朦朧 5『 父と子 』

「 おとうさーん! 見て! 釣れたよー!! 」
金髪の少年が父親に手招きして見せた。
若い父親は 幼い息子にニコリ微笑むと、サラサラと輝く金色の髪の毛を撫でた。
「 お母さんは いつも一緒には来てくれないね・・・ ここ凄く綺麗なのに 」
「 お母さんだって、いつか一緒にここへ来てくれるさ、なぁ? ロッシュ 」
青い瞳を潤ませていたが、ロッシュは 零れそうになった涙を右腕の袖で拭いてみせた。
父親は よし! と頷くと、ロッシュを肩車して走り出した。
” 俺の息子はいつも強い! お母さんを守ってやれる強いロッシュだ! ”
ロッシュがくじけそうな時は 父が口癖のように言う、この言葉を思い出し、歯を
食いしばる。
ロッシュは父親が 大好きだ。
しかし、母親を好きにはなれなかった。
” お母さんは 僕を見てくれない・・・ 僕の事が嫌いなんじゃないかな・・・ ”
ロッシュと 父親が町へ戻ると、 青い装束を纏った者達が目に入った。
” 月無しの夜子 ” を崇拝する教団の信者の服装だった。
父親はロッシュの手を引くと、物陰に隠れた。
いつになく強面の父親の表情に、幼いロッシュは動揺した。
いつも通る大通りを避けて、二人は裏の路地から 母の待つ自宅へ向かった。
家の窓が見えてきたとき、二階の窓から ロッシュの母親が身を乗り出して叫んだ。
「 その子を捨てて 逃げて! バーニー!!! 」
何と母は叫んだのか?
考えているまに 青い装束の者達に取り囲まれていた。
ロッシュをかばうように隠すバーニーの顔には 少しも余裕が無かった。
「 久しぶりだな、その子を大人しく教団に返せば お前の命 助けてやろう 」
黒装束の男が バーニーの前に現れた。
家の前では 既に取り押さえられている母親のユウアが 泣き叫んでいる。
「 お願い! バーニーだけは助けて!
その子は あげるからお願い!! 彼の命だけは助けて!! 」
ロッシュは混乱した。
母親が言っている言葉を 理解しようとするほどに 頭が真っ白になる。
「 やめろ!ユウア!
ロッシュもユウアも 誰一人渡せない! 俺の愛する家族だ!! 」
「 お父さん・・・ 」
黒装束の男は ロッシュの目の前で 一瞬にしてバーニーの喉下を切り裂くと、
辺りには真紅の飛沫が舞った。
「 いやあああああ!!! バーニー!!! 」
「 お父さん! お父さん!! 」
手早くバーニーの遺体に獣の皮を巻きつけると、青装束の者達がそれをロッシュから
引き離して 裏路地から運び始めた。
父親の死を目にしたロッシュだったが、すぐに母親の身を案じた。
「 殺して・・・ 私も殺して・・・ バーニーのところへ・・・ 」
「 それは出来ません ユウア様 」
母親は虚ろな眼をしている。
口元から 唾液が少々零れたのがロッシュには分った。
安定剤のような 麻薬の一種を投与され、その効果が出てきたのだった。
「 あなたは 聖母として この月無しの夜子様と 教団に立つのです 」
恐怖と 不安と 理解できない惨事に、涙を流しながら母親の顔を見ると、
母親は ロッシュに冷たい視線を上から浴びせた。
「 バーニーを 返せ・・・ この 悪魔・・・ 」
ロッシュは 母親に愛されていなかった事を やっと理解した。
>>>続く
・リュスアル・・・母親と二人で住んでいる ファゼル能力を持つ少年。
・イネス・・・リュスアルに拾われた 記憶の無い少女。 イネスと名づけられる。
・サシャンナ・・・リュスアルの母親。
・バーニー・・・教団からユウアを連れ出し、ユウアの生んだ子供の父親として
小さな町で暮らしていた。
・ユウア・・・教団で数年前、悲惨な儀式の生贄となり、人外の子種を無理矢理
植えつけられ、バーニーと逃亡した後、その子供を生んだ。
・ロッシュ・・・ユウアが儀式で交配させられた 謎の生物との間に生まれた男の子。
金髪に青い瞳。 普通の人間の子供の容姿をしているが・・・
・黒装束・・・ユウアの父の部下であり、教団の幹部。
テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学
むむむっ
ミュジニーさん
いつになるかわかりませんが、小説と切り絵は
宣言どおりのっけれたらと思います><;
予想するのすきですねーミュジニーさん。
今 ガンダムシードディスティニー見てるのですが、
西川君、またまた ハイネという名前で 声優参加してました・・・。
違和感かなりあるけどw
ハイネといえば 西川くんが、ルイマリーという
コミックビジュアル系バンドしてた頃のVO名前が ハイネなんですよねー確か。きっと ハイネってのはそこからとったにちがいねえええええ。
ちょこっと予想してみましたw
おそらく
小説の存在 スッコン忘れてましたww
これ この先考えてないので 書きながらかんがえていってたり・・・(汗
まぁ 練習よねwww
しかし、ヨヨ子は凄いねえ。
こんな小説俺には無理だな。><