・ 前回までのあらすじ
ヴィンバレリーという 大いなる星を巡り 幾数年の戦いが続き、その戦いに
幕を下ろしたのは、後に ファゼル大戦と言われる戦いの勝者、虹王ラルクであった。
彼は北の大陸に帝都を構え、実質 大陸最強の国を築いた。
彼は、残りの大地を 実の姉である ルアルテミス(月姫)に托すと、姉は中央大陸に
国を構え、弟に大敗した 南大陸を拠点としていた蛮族の王 ダイゴーの命と地位を
保護し、南大陸の統括を任せた。
ちょうどその頃、世界の各地で 不思議な詠い人が神出鬼没し、200年毎に
生まれる 謎の赤ん坊の伝承を伝えた。
ファゼル達は その歌を恐れ、ファゼルに代わり 世界を欲する者たちは その伝承を
崇めた・・・
1万人に一人生まれるか否かといわれている、稀なるファゼルの能力とは
一体なんなのか?
幼い頃から 強大なファゼルの能力に恵まれていながら その能力を陽のもとに
晒すことなく穏やかに生きてきた リュスアルだったが、一人の少女との出会いに
よって、大いなる暗黒の渦に巻き込まれようとしていた・・・
” 200年を境に、大陸を呑まんとする赤子が、
乙女と人外の間より、月の隠れる晩に生まれる。
ファゼルは赤子の乳となり肉となる…
そして赤子は刻すら呑まんと欲する…
小さき王の眠りを妨げるな…
蒼き母に還すな… ”
暗黒の朦朧 10
『 白昼の露見 』 人影が 目にも止まらぬスピードで森を駆け抜ける。
人も通らぬ 獣道を器用に進みながら、必要と在れば 邪魔な木々は一瞬にして
灰にした。
「 見えてきた! 」
必死にしがみついているイネスに リュスアルは余裕の笑みを見せた。
普通の人間の足ならば 2日以上はかかる。
獣車(アニマルカー) ですら 早いものでも丸一日かかる距離を、リュスアルは たったの
5時間程度で移動出来るのだ。
リュスアルは 幼い頃から母親に ファゼルの能力を極力使わないようにと言われ育った
ため、自分の力の上限を試した事はなかったが、自分が 火を操り、肉体能力を引き上げる
才能に恵まれている事は自覚している。
「 あれが 帝都・・・ 大きな町ね・・・! 」
風を切りながら 窄めた目で 初めて目にする土地に 何故かイネスは懐かしさを
感じていた。
妙な胸騒ぎが またちらつく。

物陰でイネスを下ろし、城下町に入る門をくぐると 活気に溢れた町が二人を
歓迎した。
嗅いだことのない料理の匂いに釣られて向かった先には 高級料理屋が構えていた。
店の入り口の店員が 田舎者丸出しの二人を怪訝な顔つきで見ている。
リュスアルとイネスは顔を見合わせると 笑い出し、市場の方へ歩き出した。
町のいたるところには 帝都の兵士が警備に立っている。
帝都方面に近づくほど 兵士の階級が上がっているのが 装いで分った。
リュスアルは 母に言われたとおり、帝都の兵には関わらないように気配りし、
イネスとのデートを満喫した。
目に入るものは珍しい物ばかり、サシャンナに ある程度城下町の事は聞いて来ていたが
聞くのと見るのでは こんなにも違うものかと驚かされる。

人混みに紛れながら 町にきていた大道芸人の芸に 夢中になっていた。
イネスも 胸を高鳴らせながら眺めていた。
「 俺のほうが上手い 」
イネスに耳打ちすると、イネスが呆れた顔をリュスアルに向けてきた。
そんな顔も愛おしく、胸がしめつけられる。
大道芸に目線を移して 数分だろうか、 たった数分だった。
リュスアルは イネスが隣にいない事に気がついた。
「 イネス!? 」
キョロキョロしながら 恋人を探すリュスアルの表情は迷子の子供のように
不安で覆われていた。
「 イネス!! 」
リュスアルの呼び声は 人々の歓声や音楽に打ち消されていくばかり、イネスに
何かあったら・・・
そう思う毎に イネスを探す足取りは速さを増した。
「
うああぁぁぁっぁああっぁあ!!!」
突如、歓喜とは明らかに異なる 叫び声が聞こえたかと思うと、それは伝染するかのように
次々と他の人間達にも奇声を促した。
彼らの目線は 帝都方面に向けられており、リュスアルも同じく帝都に目をやると、
遠巻きに見ても分る程の数の小型ワイバーン(飛竜族)の群れが 帝都上空から火を噴き、
帝都を襲撃していた。
「 モンスターだ!! モンスター(化物)が城を襲ってるぞ! 」
「 民間人は 建物内へ!! 早く避難しろ!! 」
帝国の兵隊が 民間人達を誘導し、避難を促している。
リュスアルはこのモンスターの襲撃の騒動の中 あの日のことを思い出していた。
イネスと初めて会った あの夜の事を・・・。
血なまぐさい闇の中に 少女が一人倒れていた。
あの日の翌朝 リュスアルは その現場を見てたのだ・・・
死体損傷は激しかったが、その皮膚の感じから、獣の類であることと、その数が
数十体もの群集であった事がわかった。
サシャンナには その事は話していない、もちろんイネス自身にも。
胸騒ぎをかき消せず、リュスアルは帝都の城へ走り出した。
そのスピードは 見る者を驚かせたが、騒ぎの中だったため 一体何人の人間が
そのリュスアルを目撃できたかは 定かではない。
帝都に近づくにつれて、襲撃しているモンスターがワイバーンだけではなく、空以外に
地上からも 牛のような化物から 液体の様な魔法によって生み出された化け物まで
様々なモンスター達が 大群で押し寄せていた。
ファゼル能力を持たない ヤングファゼルの騎士たちが次々に流血を流し、その肢体を
無残に引きちぎられるなど まるで地獄絵図のようであった。
ファゼル能力で抵抗している赤いシンボルを纏った ブラッディファゼルの団も苦戦を
強いられているが、他のシンボルの騎士団が応戦する様子はみられない。
そして モンスターのトップに立つ者の姿があった。
薄灰色のローブを纏った人間らしき人影が、騎士の誰かと対峙している。
「 お前がこのモンスター共を 指揮しているようだな!」
勇ましく斬りかかる 金のシンボルを身につけた 若い男は、スターファゼル
(エリート騎士)の ルカ・メーベルであった。
彼とコンビを組んでいる 黒い長髪を 後ろでひとつにくくった気品のある女騎士が
敵に問う。
「 私はスターファゼル騎士団、シロチサ・ワヲナー!
これ以上の進撃は 特級騎士の名において 許しません! 」
シロチサの巻き起こした真空派と それを防御壁にして敵との距離を縮めたルカの
一太刀は 一筋の水飛沫のように 敵のローブを切り裂いた。
「 ・・・・ 」
しかし敵は 一言も発する事無く二人に手を翳した。
「 何ッ!? 」
一瞬にして ルカと シロチサは、城壁に猛スピードで叩きつけられ まるで
泥にでも埋められているかのような重力に囚われた。
「 くっ・・・ 動けるか、チサ・・・ 」
首を上に持ち上げようとしたが シロチサも同じく身動きの取れない状態を
目配せして見せた。
「 こいつは・・・ ” 格違い ” だな・・・ 」
初めて目の当たりにした ファゼル能力者の戦いに釘付けになっていたリュスアル
であったが、あのスターファゼルの男女が、現在の唯一の主戦力であり、
明らかに そのふたりの騎士がピンチである事がすぐに分った。
切り裂かれたローブから 僅かに見えた見覚えのある髪色・・・
「
小さき王をヨコセ・・・ 」
聞き覚えのある 声・・・
リュスアルは祈るように ローブの中の者の顔が見える位置に動いた。
「 どうしちゃったんだよ・・・・
イネス!」
ゆっくりとリュスアルを見つめた そのローブの者は、イネスであった。
イネスは 冷たい表情で見下ろすと、リュスアルに無言で首をかしげてみせた。
「 逃げなさい! 殺されるわよ!! 」
シロチサが リュスアルに警告した瞬間、
ルカたちが受けたものと同じ波動が リュスアルに向けられた・・・
>>>続く
リュスアル ・・・ファゼルの能力を隠しながら 小さな村(ツァポスク)で暮らす
青年。
イネス ・・・幼い頃闇の中で 記憶を失い 座り込んでいるところを リュスアルに保護され、
イネスという名をつけられた。
サシャンナ ・・・リュスアルの母親。 マリンの妹。
ルカ・メーベル ・・・特級騎士 スターファゼルの騎士。
シロチサ・ワヲナー ・・・ルカと同じく スターファゼル騎士団に所属する女騎士。
テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学
小さき王はまだまだ出ないおーw
そうねぇ、最初の方の話がヒントになってるけどねwww
このあたりから 3国とレジスタンスとロッシュの話がまじりあって めんどくさくなるよていでしたww
やはり
イネスは二重人格っぽいね...
小さき王ってのがそろそろ明らかになるのかな???
いえいえー^^*
お返事遅れましたw
また ワヲナーには活躍してもらいましょうw
ヤツと絡ませようかとおもっておりますので・・・・w
き、き、き、気品のある女騎士・・・に・・・ぐはっ。。
あぁヨヨ子さん、いや、ヨヨ子先生、
犬でもいいと言っていたのに、こんなにかっこいい役に
してくれてほんとにありがとうございます。
物語の方もかなりの展開で、そっちも気になるのに
思わず名前を見てにやにやとしてしまいました(笑)。
うぅぅぅぅ、こんなに嬉しいものとは思いませぬだ・・・。
めんどくさいリクエストをしてしまってすみませんでした。
でも答えてくれてありがとうございます。
パソコンの前で小躍りするくらいの嬉しさでした。
またお話の続きを(もうシロチサ・ワヲナーのことは気になさらずに(笑))
楽しみにしてますね(^O^)!